乾癬について

●尋常性乾癬
乾癬患者さん全体の約70〜80%にあたります。乾癬の皮膚では、一部の免疫が過剰になり(サイトカイン)、炎症を起こしています。また皮膚の細胞が、正常な皮膚と比べて10倍以上の速度で生まれ変わっていることも知られています。

<皮膚症状>
皮膚が赤くなる、盛り上がる、銀白色のフケのようなものが付着しはがれ落ちるなどの症状がみられます。かゆみは約50%の患者さんでみられ、かゆみの程度は人によりさまざまです。

<部位>
頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざ、おしり、太もも、すねなど外部からの刺激を受けやすい部位でよくみられますが、全身どこにでも出る可能性があります。全体の40〜80%は爪にも乾癬の症状がみられ、爪が先端から浮き上がって白くみえたり、爪の表面にポツポツとした凹凸ができたりします。

●関節症性乾癬
乾癬患者さんの中には、手足の関節や、首から背骨、アキレス腱、足の裏などに痛みや、腫れが出現します。乾癬患者さんの約15%に合併するといわれています。症状は関節リウマチに似ていますが、異なる病気です。関節の変形が生じた場合、不可逆性のため、関節炎を早く見つけて、治療を開始することが大切です。76%の患者様は皮膚症状が先に出現していますが、関節症状が先に出ている方も5%、皮膚と同時の方が18%いらっしゃるので、注意が必要です。

●滴状乾癬
小さな水滴大の発疹が全身に現れるのが特徴です。小児や若年者に多く、扁桃腺炎などの肝炎症が誘因となることが多いといわれています。原因の感染症を治療することで症状は治まりますが、まれに何度も再発を繰り返し、尋常性乾癬に移行することもあります。

●膿疱性乾癬
急な発熱とともに全身に発赤と膿疱が現れる汎発性膿疱性乾癬という希なタイプもあり、厚生労働省の希少難治性疾患(指定難病)に指定されており、認定基準を満たすと医療費助成対象になります。

治療

外用療法
ステロイド軟膏(皮膚の炎症を抑える)
ビタミンD3外用剤(過剰な角化・過剰なカサカサ、盛り上がりの抑制)
ステロイド+ビタミンD3配合剤
ステロイド+ビタミンD3配合剤

光線療法
全身型ナローバンドUVBやVTRAC®️、XTRAC®️の照射を行います。

内服
ビタミンA誘導体
免疫抑制剤
PDE4阻害剤(アプレミナスト):体の中のcAMPの分解を防ぎ、炎症系サイトカインの産生を抑制し炎症を防ぐ)
当院でPDE4阻害剤を導入された患者様は多く、安定して継続できている方が多いです。
副作用の下痢、頭痛、嘔気で内服を中断するケースもゼロではありません。紫外線療法と併用できるのが利点です。また、塗り薬、光線療法ではアプローチできない、早期の関節症状にも有効と考えます。
内服

生物学的製剤
軟膏、光線、内服療法では十分な効果が見られない場合や、関節の症状が出現した場合に用いられます。注射の薬です。乾癬の症状が出ている部位に大量に出ている、炎症にかかわるたんぱく質(サイトカイン)の働きをピンポイントで抑えて症状の改善を試みます。当院では基幹病院と連携し、お薬の導入を行っています。
・コセンティクス®️ 等
内服

治療選択のピラミッド
内服
当院は、日本皮膚科学会「生物学的製剤使用承認施設」に認定されております。
乾癬生物学的製剤使用承認施設:https://www.dermatol.or.jp/modules/biologics/index.php?content_id=4

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